[インタビュー]企業

エーザイユニオン:働き方改革において自社では見えなかったことをセミナーで実感し、解決に取り組む

女性活躍のための施策を充実させるなど、早くからダイバーシティを視野に入れた取り組みを行っているエーザイ株式会社様。女性の長期雇用のための制度などが注目され、女性の就職希望者も多い老舗製薬会社です。ただ、商環境などからライフイベントをむかえた女性営業職のキャリアアップが難しいという面もあり、スリールの「働き方見直し」セミナーを導入。このセミナーによって得られた“気づき”について、エーザイユニオン 東京支部(取材当時)の角田泰之様に伺いました。

公開日:2018.10.17更新日:2023.12.25staff

エーザイユニオン 東京支部 角田泰之様(取材当時)

製薬会社の労働組合として取り組んできた施策の効果と現実

—労働組合としての、女性活躍推進の取り組みを教えてください。また、現在の課題はどういったことがありますか?

当社では、営業職などでも女性の割合が比較的高いことなどから、女性活躍のための施策を積極的に進めています。育児休暇は最大3年までとれることや、時短勤務取りやすくするなど、労働組合として制度は充実させてきました。内勤者については、施策を受けて働きつづけてる社員も増えていますし、新規採用の場面でも「働き方改革を進めている会社」として一定の評価が得られていると感じています。また、会社としても女性の雇用を促進しています。ただ、外勤者(営業職など)は、裁量労働制(みなし労働時間制)のため、拘束時間にムラが出やすいことなどから、出産・育児などのライフイベントを抱える社員が働きにくいといった現状があります。

外勤者については、ライフイベントが入ってこない若い世代では、お客様であるお医者様に合わせた対外的なコミュニケーションが優れているという面などから、女性の方がキャリアアップしやすい傾向にあります。ところが、出産・育児などのライフイベントに直面すると、勤務時間の制約などから、別部署への移動が必要になり、それまでのキャリアを引き継げないといった状態になりがちです。また、同じキャリアを続けられたとしても、産休・育休などでブランクができる分、男性の方が出世が早まり、モチベーション低下につながっていました。女性が制約を持ちながら活躍するというのは大変難しい商習慣があり、労働組合として、どのように解決すべきか悩んでいました。

—スリールを知ったのは、どういった経緯だったのですか?

実は、スリールの堀江社長とはもともと面識がありまして、2017年から労働組合の東京支部で支部長を拝任したこともあり、労働環境についての相談に乗ってもらうために堀江社長に連絡を取ったのがはじまりです。労働組合としては、女性活躍の改革や労働環境の改善に積極的に取り組んでいましたが、行き詰まる部分もあり、他社からの情報も参考にしたいということがありました。

何度か相談を重ねるなかで、やはり本腰を入れて改革を進めたいという想いに至りました。そこで、まず労働組合としてセミナーを開催し、そこから会社の方へ裾野を広げるかたちで進めて行こうということで、スリールさんに「働き方見直し」セミナーを行っていただきました。

スリールの働き方見直しセミナーで見えた課題

—「働き方見直しセミナー」を体験された社員の方の反応はいかがでしたか?

製薬業界は、「働き方を改革する」という意味では、すべての社員が満足できる施策づくりは大変難しい業界です。そして、だからこそ取り組んでいかなくてはいけないのだと切実に考え、試行錯誤してきました。とはいえ、労働組合の中だけで施策を考えるのは、限界があります。そういった意味でも「働き方見直しセミナー」でヒントを得たいという想いがありました。今回、第1回目ということもあり、想定よりも参加人数は少なくなってしまったのですが、それでも管理職の方など、幅広く参加してもらえたことは大変意味があったと思います。

働き方見直しセミナーは3部構成になっており、最初に「社会背景から、なぜワークライフバランスが必要か」の講義を受講します。その上で、参加者が「3年後ライフも含めてどんなキャリアを描いていきたいのか」のVISIONを考え、その理想のキャリアを描く上で「どのように自律的に働き方や仕組みを変えていけば良いのか」という施策をグループで考えていきます。

このセミナーを体験する事で、例えば、上司の方は部下と密なコミュニケーションがとれていると思っていたのが、深掘りをしていくと実は、それは表面上のコミュニケーションでしかなかったと気づかされたという例がありました。

当社では、上司と部下が円滑なコミュニケーションをとれるようにするため、労働組合からヒアリングの時間を月に1時間は設けてほしいとアナウンスしています。ただ実際は、その時間がヒアリングのためではなく、仕事の相談や成果の報告に終始してしまっているということがありました。実は、部下としては「こういう風に働きたい」「もっと仕事をしたい」と思っていても、時間で区切られた形式的なかたちの中では、なかなか深い話になりにくく、かといって別の時間をつくるには上司が忙しすぎて捕まらないといった、すれ違いが起こっていました。

セミナーで、職場が上手くいっていない原因を紐解くことができたのは、とても大きいと思います。ヒアリングについては、形式張っていない、もっとフランクなコミュニーションをとれる場をつくる必要があるという新たな気づきになりました。

また、セミナーの中で、自分の課題を可視化して周りの方に発表し指摘し合うというグループワークがあったのですが、自分の中ではとても深刻な問題だったことが、周りの助言によって解決できたり、反対に、自分が問題だと思っていなかったことが、実は問題だったことに気づいたという意見もありました。わかっているようで社会生活の中で実は難しい「課題は自分一人で考えるよりも、他人と一緒に考えた方が解決できる」ということに改めて気づくことができました。個人の問題や組織の問題に対して前向きに向き合うことができ、参加者の意識を変えるよいきっかけになったと思います。

社員一人ひとりが前向きに活躍できるよう、これまでの施策を見直していきたい

—これから、労働組合として取り組んでいきたい施策について教えてください。

先ほどもお話しましたが、外勤者については、お客様が「お医者様」という場合が多く、お医者様と話すには診療のない朝早くか夜遅くに合わせる必要があるといったように、働き方のバランスを取りにくい面があり、業務を変わるといった選択を取らざるを得ない状況があります。時短の社員が外勤者としてキャリアを続ける場合でも、上司の配慮やサポートはあるものの、営業活動に重要な意味を持つ勉強会などへの参加は難しく、そのことがハンデとなり、キャリアを積みにくい状態です。また内勤者についても、手厚い施策を設けてはいるものの、保育園の形態の違いなどによって、施策があっても適用されない、パターンから外れてしまっている社員もいます。施策を見直し、こういった不公平な部分を一つひとつ取り除いて行くことが重要だと考えています。

これまでは女性活躍推進を第一として取り組んできましたが、今後は介護者を抱えた社員なども増えていくことも想定されます。女性活躍推進はもちろん、ダイバーシティ推進へも目を向け、社員一人ひとりが前向きに活躍できるよう取り組んで行きたいと思います。

 


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