東京都主催、誰もがいきいきと働ける職場環境の実現を目指してライフ・ワーク・バランスについて考えるイベント「ライフ・ワーク・バランスEXPO」に弊社代表 堀江が登壇しました。今回のイベントではご自身もママとして仕事と育児を両立されてきた木佐彩子氏がファシリテーターを務め、株式会社ポーラ 執行役員・人事戦略部長 荘司祐子氏、清水建設株式会社 人事部ダイバーシティ推進室長 西岡真帆氏、弊社代表 堀江の3名が「女性が管理職を目指したくなる職場環境/制度とは?」というテーマの下、パネルディスカッションを行う形式で開催されました。
冒頭ではパネルディスカッションの前提として、女性活躍推進の現況を堀江からお伝えしました。ESG投資、コーポレートガバナンス・コード改訂、米国上場企業への人的資本の情報開示を義務化、日本政府の人的資本可視化指針の策定など。現在では「人的資本」を重要視する動きが世界的に拡大し、日本でもその第一歩として「女性活躍」を推進する流れが生まれています。実際2021年の調査では、従業員301名以上の企業の71%が「女性社員の活躍・定着に取り組んでいる」と回答。
しかし、未だ日本における「女性活躍推進」は問題なく進んでいるとは言い難く、現に昨年2022年の国際ジェンダーギャップ指標ランキングでは、146か国中116位という結果となっています。「女性活躍推進」の一つの指標としての女性管理職が伸び悩む背景には「女性管理職パイプライン」が上手く機能していない、抜けや漏れがある可能性が考えられます。堀江は「こうした状況を改善するためには制度改革と上司・女性自身の意識改革、両方が必要です。また女性の管理職を増やしていくためには、両立支援だけでなく、活躍支援に力を入れていく必要があります。」と説明しました。
女性活躍推進はダイバーシティ&インクルージョン実現の第一歩。女性や育児期の社員が活躍できる風土が醸成されれば、多様な人財が活躍できる組織づくりに繋がります。堀江はそうした企業へのメリットについて触れ、「経営陣・現場・外部コミュニケーションという3つの視点で施策に取り組むことで、女性活躍推進・組織変革が実現します。」とアドバイスを行いました。
続いて荘司氏と西岡氏が、自社の女性活躍推進の現状について説明を行いました。株式会社ポーラでは従業員の70%が女性。女性活躍推進は特別なことではなく「当たり前」で、他社との差別化を図るためには、お客様のニーズを汲み取り、イノベーションを起こしていくことが必要だったとのこと。そこで株式会社ポーラでは「女性活躍推進」から更に一歩踏み込み、一人ひとりの個性を尊重した「共創」を大切にしているそうです。
一方、国内の土木建設業を請け負い男性中心だった清水建設株式会社は、女性の従業員比率が17%、女性管理職は3.3%と、社内のジェンダーギャップはまだまだ顕著。しかし、経営環境やお客様のニーズの変化を受け、2009年にダイバーシティ推進室を設置し女性活躍推進に取り組んできた結果、少しずつではあるものの着実に成果が出てきているそうです。
堀江は「人的資本経営に取り組んでいない企業は、将来的に従業員が離れて行ってしまう可能性もあります。社員一人ひとりの状況を踏まえた上でチームとして仕事をし、お客様へクオリティの高いサービスを提供し続けることができる組織を作る必要があります。」とコメントしました。
次に荘司氏と西岡氏が、自社で成果を上げた女性活躍推進の具体的な取り組みについて紹介しました。
株式会社ポーラでは、代表取締役社長 及川氏の下、特に「働き方改革」と「マネジメント層の意識改革」の2つに力を入れて取り組んだとのこと。「働き方改革」ではコロナをチャンスとして捉え、リモートワークができる環境を整備。その結果、家事や育児の隙間時間を有効活用することができ、お子さんを持つ女性従業員も働きやすく、活躍できる職場を作ることができたそうです。「マネジメント層の意識改革」に関しては、月に2度、経営層を巻き込んでマネジメント研修を実施。荘司氏からは「なぜ女性活躍推進やダイバーシティが必要なのかという理解推進に努めた結果、マネジメント層の意識が変わり、現場の雰囲気が変わったことを実感しました。」というコメントを聞くことができました。
清水建設株式会社ではハードとソフト、両面から取組みを実施。ハード面では女性用のトイレや更衣室を設置。その結果、女性を同じ「働く仲間」として受け入れる風土醸成にも繋がったそうです。ソフト面では、「ダイバーシティ」に無関心だった男性マネジメント層の意識を変えるため、「育ボスアワード」を新設。男性部下に育児休職取得を推進したマネジメントを表彰し、社内イントラに掲載。西岡氏は「この取組みが功を奏し、男性のマネジメントが積極的に女性活躍推進やダイバーシティーに取り組んでくれるようになりました。」と、成果について笑顔でコメントしました。
堀江は「女性活躍推進を進める上で、トップからのメッセージ発信と上司への評価を掛け合わせることは、とても効果的です。上司への業績評価に女性活躍推進への取組みを含めている会社もあります。」と他企業での取組みについても紹介しました。
最後に話題となったのは、今後女性活躍推進として取り組んでいきたいこと・心がけていきたいこと。
荘司氏は「候補者の見える化・リスト化に力を入れていきたい。そして早い段階から候補者を育成し、マネジメント経験を積ませてあげたいと考えています。また社内外で女性のネットワークを作り、女性自身が殻を破るマインドアップ作りに繋げていきたい。女性は『会社や家庭に迷惑をかけてしまう』という思考ではなく、もっと貪欲に自分のことを頑張るマインドを持って欲しいと思います。」とコメントしました。
西岡氏は「まずは実績を作るため、女性管理職の登用を進めたいと考えています。その一方で、女性自身にもロールモデルがいないことを言い訳にするのではなく、先輩のいいところを真似して自分自身がロールモデルになる意識を持って欲しいと思います。」とエールを送りました。
堀江は「女性はどうしても『自分にマネジメントなんて務まらない』という思考に陥ってしまいがちですが、実際マネジメントになった方の8割以上は『なって良かった』と実感しています。そうした方々は自分がマネジメントになったことで、組織が改善されたことに達成感や喜びを感じているようです。様々な人財が活躍できる組織を築くために、女性活躍推進・ダイバーシティは必要不可欠。これからも日本社会全体で取り組んでいくことができればと考えています。」とディスカッションを締めくくりました。
着席の方のみならず、多くの方が立ち止まって視聴くださった本講演。女性社員比率も高く活躍推進が進んでいるポーラ様、女性社員が少ない環境の中でも風土醸成から取り組まれている清水建設様のお話は、社内の女性活躍推進レベル問わず参考になったのではないでしょうか。
主催の東京都様ありがとうございました。
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