レポート

人的資本情報開示に向けたISO 30414活用のヒント

公開日:2023.08.25更新日:2023.08.25staff

人事・ダイバーシティ担当の皆さまから寄せられるお悩みをテーマに解説する、弊社主催の無料人事向けオンラインセミナー。今回は国内唯一のISO 30414導入支援/審査認証機関である(株)HCプロデュース代表 保坂 駿介氏をお招きし、ISO 30414に関して皆さまの疑問にお答えし、人的資本経営に向けた活かし方を学ぶセミナーを開催しました。

有価証券報告書において人的資本の情報開示が始まったことに伴い、最近弊社にも多くの方から「人事データを収集・掲載するので精いっぱい…」「今後を見据えて、経営者・人事担当者として何を行えば良いのか」といったお声が寄せられています。

今回セミナー中に実施したアンケートでも、人的資本の情報開示に向けすでに「取り組んでいる」とお答えいただいた方は全体の38%。まだ多くの企業が「何から手を付けて良いのか分からず準備段階」にあるようです。

しかしESG投資が注目を浴び、コーポレートガバナンス・コード改訂、米国では上場企業に対する人的資本の情報開示が義務化、日本でも人的資本可視化指針が策定されるなど、世界的に人的資本を重要視する動きが拡大していることを踏まえると、企業としての対応は必須かつ急務と言えます。これまで企業では人財を“経費”として捉える考え方が主流でしたが、これからは人財を経営に必要な“資本”として捉え、「効果的に投資をしてリターンを生み出す」「育成していく」ことが重要となってきます。

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ISO 30414活用のメリットとは

最近では企業の状態を示す指標の1つとして投資家も注目するISO 30414。皆さんはガイドラインの詳細についてご存知でしょうか?

ISO 30414は11項目と58指標で構成され、ESG/SDGsやサステナビリティとも方向性は一致していますが、人的資本を網羅的・体系的に示し、中長期的成長に結び付けるためのツールとして活用が可能です。経営者は人的資本に適切な投資が出来ているかを確認し、人事担当者は様々な指標を定量化することができ、求職者は企業の状況を知ることができるなど、企業がISO 30414を活用するメリットは多岐に渡ります。

ただし日本の企業は他国に比べISO 30414の取得が難しいというのが実情。その背景には「ジョブ型の欧米と労働慣行が異なる」、「データ収集に必要な社内調査が行われていない」 、「“重要ポスト”の定義がされていない」などの理由があります。そして必要な情報を収集し開示することができたとしても、日本企業はグローバル企業と比べて、ダイバーシティなどの項目で数値が低く出てしまう可能性も。

しかしISO 30414は取得自体を目的としなくとも、これまで定性的にしか捉えることのなかった人的情報を定量的に捉え、経営戦略を考えるきっかけとなるなど、企業の成長に繋がる利用価値が高いツールです。

 

ISO 30414をDE&I推進に活かすには

“人的資本情報”にはコーポレートガバナンス・コード、サスティナビリティ(ESG)、ISO 30414など様々なものがありますが、全ての情報に共通する項目が「ダイバーシティ・女性活躍推進」です。しかし日本では他国に比べダイバーシティや女性活躍推進が遅れている状況。そこで日本政府も「女性版骨太の方針案」において「女性起業家の育成目標」や「東証プライム上場企業向け施策」を定めるなど、急ピッチで対応を進めているところです。

こうしたダイバーシティや女性活躍推進を進めていく中で大切になってくるのは、採用・育成・登用まで切れ目のない「女性管理職パイプライン」を構築すること。「女性管理職比率」「女性役員比率」などの情報を開示することは、組織や企業における登用の仕組みや評価制度における公平性・課題を明らかにし、女性管理職パイプラインを形成するための指標となります。つまり人的資本の情報開示は決して“ゴール”ではなく、人財戦略のブラッシュアップや、施策の実施に生かしていくための“スタート”であると言えます。

企業価値に直結する人的情報の開示

ISO 30414は取得自体を目的としなくとも利用価値が高いツールであることは先に触れましたが、上場企業は取得しておくことで労務に関する透明性を担保することができます。また非上場企業も“人を大事にする会社である”というアピールをすることができ、採用ブランディングの強化に繋げることもできます。これからはISO 30414の取得、及び項目に則した情報開示が上場企業に関しては「必須」、非上場企業であっても「必要」という社会的な流れになることが想定されます。

経営戦略・事業戦略を踏まえた適切な人的資本の情報開示は社内外からの評価に繋がるため、経営陣も積極的にコミットメントしながら企業が一体となって取り組んで行くことが大切です。

しかしセミナー冒頭のアンケート結果からも分かるように、人的資本の情報開示に関しては多くの企業が準備段階にあり、「どこから手を付けて良いのか分からない」という人事部門の皆さんも多いはず。(株)HCプロデュースではISO 30414の準備度を自己診断する“人的資本クイックチェッカー”活用によるサポート、弊社スリール(株)では課題の分析から施策の実行まで組織改革を支援する“ISO 30414認証支援コンサルティング”をご提供しています。サービスの詳細について知りたいという方は、ぜひお声がけください。


スリールでは、「子育てをしながらキャリアアップできる人材と組織の育成」とテーマに、女性の心理を徹底的に分析した講義や、擬似体験型ワークを取り入れた実践的な研修の他、講師による講演・セミナーを提供しております。
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