オフィス勤務の他、駅などの現場でシフト勤務など、多様な働き方の社員が活躍する東京地下鉄株式会社様。男性の育休取得を推進されている中で、復職社員が仕事と子育てを両立しながら活躍し続ける土壌づくりとして弊社の「両立キャリア研修」を導入いただきました。本研修を主導いただいた、人事部DE&I推進・採用担当の大原 恭子様に研修効果やDE&Iの必要性などについて伺っていきます。
––以前から復職者に向けた研修を行っていらっしゃったそうですが、今回弊社の「両立キャリア研修」 を導入されたきっかけは?
弊社は駅の現場など、宿泊も含めたシフト制で働く社員が多くいるため、仕事と子育ての両立に関しては一般論が通じない場面が多々あります。スリールさんの研修ではそうした事情に配慮した内容を提供いただけたこと、また、社員の「子育てと仕事の両立ができるかな・・」といった不安に対してわかりやすくアプローチいただける内容だったことで導入を決めました。
スリールさんには親身になって課題感のヒアリングをいただいただけでなく、弊社の状況に合わせたオリジナルのコンテンツを提案・作成いただいたおかげで、定型の研修では実現し得えなかった課題解決のアプローチができたと満足しております。
––直近の男性育休取得率が約95%と多くの男性社員が育休を取得されそうですね!
男性の育児参加も進む中で、今回の研修はどのような目的があったのですか?
今までは女性の復職者に向けた研修を行ってきました。でも実は、既に多くの女性が仕事と子育ての両立のために様々な工夫をされている中で、研修対象が女性だけという点に違和感が出ていたということもあり、今回は男女問わずでの対象としました。女性だけの実施では、「仕事と子育ての両立」というキャリアにも関わる大きな部分が女性に対してだけのメッセージに繋がりかねません。家庭内の役割分担が女性に偏っているというのは一般的に言われているところかと思いますが、当社としては、「仕事と子育ての両立は女性当事者1人ではなく、周りを巻き込みながら行っていくものだ」という社員のマインドセットを促し、両立に関して不安を抱える女性社員の背中を押していきたく、男女の育休取得社員に対して行うことを重要と捉えています。
スリールさんの「両立キャリア研修」は、子育て中社員が両立をする上で重要となる周囲の巻き込み方や、長期的なキャリア視点を持つためのアプローチがよかったです。また、座学だけでなく、ワークもあることで理解が深まると感じました。特に、「他者理解ワーク」ではパートナーの疑似体験を通し、お互いの状況や想いを理解した上で建設的なコミュニケーションをとる方法が学べることが家庭でも職場でも応用できると感じ、導入をさせていただきました。
––先ほど駅などの現場でシフト制で働く社員のお話を伺いましたが、育児期社員のシフト勤務については今後どういった形で向き合われる予定でしょうか?
これまで、宿泊勤務の免除の他、宿泊回数や出勤日数を減じることができる短時間勤務制度、24時間保育園と提携して子どもを預けられる体制等を整えていました。(東京地下鉄社では2019年より提携保育園とは別に、企業主導型保育園としてめといろ保育園も運営)それでも、子どもの呼び出し時に間に合わないなどシフト勤務ならではの課題もあったため、今後は制度面で社員が使いやすい選択肢の幅を広げられるように検討していきたいと考えています。
また、制度を充実させるだけでは、子どもの対象年齢が制度の対象外になる切り替えのタイミングが壁と感じ、その先のキャリアを継続することに躊躇してしまうケースも聞かれます。ですので、両立を実現した先にどのようにキャリアを築いていけるのか?築いていきたいのか?社員一人一人が考える場面を創出していきたいと思っています。
––研修実施後のアンケートでは、8割の参加者の方に「満足」とお答えいただきました。その中で、特に反応や効果を感じたものがありますか?
全体的に反応がよかったですね。特に夫婦になってロールプレイをして互いの状況や想いを理解する「他者理解ワーク」が最も大きな反応がありました。互いの立場を入れ替えて考えることで、それまで見えていなかった価値観や現実認識のギャップについて双方で多くの気付きがあり、受講者からは「妻の気持ちや考えを理解できるように話す時間を作りたいと思うし、頼れるサポートを利用しようと思った」といった男性視点の感想や、「配偶者以外の異性の意見を聞くことができて、お父さんも大変なのだと知った」といった女性視点の感想が寄せられました。
ロールプレイを行う際のケーススタディの内容も、宿泊勤務をベースとした当社ならではの状況を設定いただいたので、受講者が自分事として捉えられる非常に有意義なケーススタディでした。
––受講者の反応を見られて、男女で課題感が異なると感じられたそうですね。
受講後のアンケートをみると、女性社員は未だに家庭の負担が大きい中で、どう仕事とバランスをとり、周りのメンバーやパートナーと協力していくか、ということについて試行錯誤しながら行っていることをを改めて感じました。
男性社員においては、当事者意識や知識の幅が人により大きく違うことに驚きました。両立のために利用している子育て・家事サービスがたくさん思い浮かぶ人がいる一方で、復職後に以前と同じような働き方をされている方はそれらの情報を聞いて目からウロコ状態だったと聞いています。
男性の両立観も多様化している昨今、仕事と子育てを両立したい人ほど、「子どもがいても男性は仕事に打ち込むべき」という選択肢一択の上司や周りの同僚との関係に悩む方がまだまだ多いのではないかと感じました。
––DE&Iを推進することについて、御社が考えるメリットを教えてください。
今までの「男性は仕事、女性は子どもが生まれたら仕事をセーブする」といった働き方や同質性の高い組織の方が管理する側はしやすかったのでしょうが、これからは多様なバックグラウンドのある社員が活躍することで事業が幅を持ち発展し、会社が成長していく時代だと感じています。
特に当社の場合は、地下鉄をご利用されるお客様が老若男女問わず多様なので、我々提供する側も多様であるべきだと考えています。
––御社が次のステップとして考えていらっしゃる点についてお伺いできましたら幸いです。
今回の研修で、男性と女性の課題感が違うことを目の当たりにしたので、今後は男女を分け、個々の課題により深くアプローチしていきたいと思っています。また、子育て社員の活躍のキーパーソンである上司側へのアプローチも引き続き行っていきたいと考えています。
人数も多いので、全社に一気に浸透させることは難しいと思いますが、少しづつでも当社の成長を支えるDE&Iに理解のある仲間を増やし、腹落ち感を持ってもらえるようにしていきたいと思っています。
◼︎担当コンサルタント ・由上祥世 |
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