女性活躍推進コラム

“ホモフィリー”という言葉を知っていますか?

”ホモフィリー”という言葉を聞いたことはありますか? 『人は同じような属性をもった人に親近感を持ちやすく、仲良くなりやすい』ことを表している、ソーシャルネットワーク研究の考え方の一つです。 このこと自体は自然なことですが、強くなりすぎると危険な一面も併せ持っています。今回は”ホモフィリー”について考えていきます。

2020.08.08sourire staff

皆さんは“ホモフィリー”という言葉を聞いたことがあるでしょうか?

ホモフィリー”とは、『人は同じような属性をもった人とつながりやすい』ことを表している、ソーシャルネットワーク研究の考え方の一つです。

自分と近い属性、価値観の人に対しては親近感を持ちやすく、仲良くなりやすい”

 ーそのこと自体は人の心理として自然なことですが、類は友を呼ぶ”や同質性”とも訳されるこの言葉。実は、強くなりすぎると危険な一面も併せ持っています。

今回は、あまり聞きなれない言葉、でも誰もが知らず知らずのうちに作り出してしまっているかもしれない“ホモフィリー”について考えていきます。

 

ホモフィリィーとは

改めて、ホモフィリィー”という言葉についてご紹介します。

ホモフィリィーとは、「同じような属性や価値観を持つ⼈とつながろうとする傾向」のことです。

⼈は同じ属性の相⼿に親近感を持ちやすく、またそうした相⼿から影響を受けやすい。

逆に言い換えると、マジョリティ属性に属さない人には、情報や人脈でハンディキャップが生じる可能性があることも意味しています。

 

例えば、SEの実⼒を評価されて、インド⼈90%の企業に出向することになったAさん。

Aさんの他に日本人の従業員はおらず、全ての社員は英語が通じるものの、仕事においての重要な人脈作りや情報は、ミサの時にヒンドゥー語で話されることが多い。

このような状況下において、 Aさんはこれまでと同じように自分のスタイルを確立し、100%の実力を発揮することはできるでしょうか?

ご想像の通り、このような「インド人のホモフィリーが強い」環境下に置いて、日本語と英語のみしか話せないAさんが、本来の能力を発揮することはとても難しいと考えられます。

もちろんこれは文化や言葉の違う外国籍の人との間だけに起きる課題ではなく、日本人同士の間でも起こり得ます。

重要な人事情報などが、「タバコ部屋や飲み会、ゴルフの場での会話で話されている」というような風潮がある環境を経験した方も少なくないかもしれません。
この状況は、男性が多い古い体質の企業によく見られる光景であるため、「オールド・ボーイズ・ネットワーク」とも言われています。このような状況は「男性のホモフィリーが強い環境」であることが言えます。

こういった状況下では、この性質に合わない人は重要な情報を得られず、昇進などにおいてハンディキャップが生まれてしまいます。女性だけではなく、非喫煙者や非飲酒者、育児に積極的で休日や夜の仕事のイベントに参加できない男性も含まれるかもしれません。

逆に、多様な人材を生かした経営“ダイバーシティ経営”は企業の競争力を高めると言われています。これは、バックグラウンドや条件が様々な人たちがそれぞれの能力を発揮することが出来る環境とすることにより、これまでの画一的な状況の中では生まれえなかった自由な発想が生まれ、自社の競争力強化につながる、ということです。

 

“2020年30%”の目標再設定

ダイバーシティであることが企業の競争力にも繋がる、さらに詳しく言うと、“組織に30%程度違った背景の人がいると全体に影響がある”ということが、研究でも明らかになっています。

これらを背景とし、2010年にイギリスで始まった、企業の役員に占める女性比率を3割に引き上げることを目標としたキャンペーン『30%クラブ』が2019年に日本でも始まり、安倍総理が号令をかけ内閣府の目標になったことは、皆さんもご存知だと思います。

202030(※)と呼ばれるこの動きは、平成15年6月、内閣府・男女共同参画推進本部が決定した「2020年までに指導的立場につく女性比率を30%まで上げること」を目指したものです。

「202030目標とは」 内閣府・男女共同参画推進連携会議

 

先日のコラムでもご紹介した通り、現在日本のジェンダーギャップ指数は先進国の中では最下位となっており、女性管理職比率は14.8%と、30%を超える主要先進国に比べても大きく差をつけられています(※)。

* 米国40.7%、スウェーデン40.2%、英国36.8%、ノルウェー34.5%、フランス34.6%、ドイツ 29.4%(ILO‘ILOSTAT’)。いずれの国も令和元(2019)年の値。総務省「労働力調査(基本集計)」より

今回内閣府で策定した第5次男⼥共同参画基本計画(※)では、「2020年代の早い時期までに、指導的立場につく女性比率を30%まで上げる」と、目標を再設定しました。今回の目標が達成されなかった原因として挙げられたのは、女性の採用から管理職・役員へのパイプラインの構築が途上であること。そして、社会全体においては固定的な性別役割分担意識やアンコンシャス・バイアス(無意識の思い込み)の存在です。

【内閣府男女共同参画局専門委員:第5次男⼥共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え⽅】

前述した、男性のホモフィリーが強い環境下では、マイノリティである女性が、自らパイプラインを構築することは容易なことではないと考えられます。

例えば、ヨーロッパに行った際に、体格や言葉の違いなどで日本では感じたことのないやりづらさや周囲の目が気になったことはないでしょうか?そこで感じるぎこちなさ、やりづらさがホモフィリーを受ける側の気持ちに近いのかもしれません。

まずはマジョリティ側が、マイノリティ側の気持ちを理解することも大切なのではないでしょうか。

 

また、先日のコラムでも触れた通り、内閣府の調査によると、「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方について、日本では5割以上が「賛成」派である一方、欧州各国では「反対」派が5割を超えているなど、日本ではまだ性別役割分担意識が他と比べても根強く残っているようです。

知らず知らずに持っているものだからこそ、こうした意識が自分たちの中にあると認識することが大切だと私たちは考えます。

 

今回の発表された202030の目標再設定は、2020年中での達成を目指すのではなく、2020年代前半での達成を目標と訂正されています。

こうした性別役割分担意識はすぐになくなるものではありませんが、ホモフィリーを持たれる側の気持ちはどういうものなのか?理解することと合わせ、今後はより性別や年齢、国籍の属性に限らないパイプラインの構築が求められていくでしょう。

また「30%クラブ・ジャパン」創設者の只松さんよると、ホモフィリーの傾向が強く、多様性の低い集団では、自分たち(集団)に対する過大評価、一方で自分たちとは違うグループ(属性)にいる人たちを過小評価する、”グループシンク”と言う集団心理が発生するとされています。

この“グループシンク”の危険なところは、自分たちの意見と異なる意見や情報を排除しようとするところです。

多様性が低く、ホモフィリーが強い環境下では、マジョリティーの属性以外の人が本来の能力を発揮しにくいことに加え、意見さえも排除されてしまうため、ますます判断が偏り、多面的な視点から物事に対応することが難しくなってしまう、時には間違った判断さえも受け入れられていってしまう、ということです。

これはホモフィリーを強く持つことの最も危険な一面とも言えるのではないでしょうか。

 

ホモフィリィーが強い組織だと損をする?

ホモフィリーが強い組織のネガティブな面は、実際のビジネスの場面でも明らかになっています。

ILOによると、世界70カ国13,000社の調査で、管理職のジェンダー多様性がある企業の約4分の3が、5~20%の利益が増加していることが報告されています。

また、ある調査では、「なでしこ銘柄」と呼ばれる、女性人材の活用に積極的な企業の株価は市場平均を上回ることが報告されており、「女性取締役がいる企業の方が好業績である」と一般的にも言われるようになりました。

一方で、女性役員比率の高さと企業業績に相関関係があるかは不明、とする考えもあります。

もちろん、前述した通り、女性の採用・登用を増やすだけで業績が上がるということはありません。ですが、”女性も活躍できる環境である”ということはつまり、”多様な人材を生かす体制が整っている”と言い換えることもできるのではないでしょうか。

 

今回コロナに対し、迅速な対応を取り評価されている国と言えば、台湾、ドイツ、ニュージーランドなどが浮かびます。今挙げた国はいずれも女性がリーダーとなり旗振りを行なっている国ですが、女性だから適切な対応を早いタイミングで打つことができたのでしょうか?

もちろんそんなことはありません。

“女性だから”と言うわけではなく、ジェンダー関係なく、優秀、かつ多様なメンバーが決定機関にいることで一方面的な対策ではなく、様々な視点から検討できたことで、取りこぼしの少ない、よりベストに近い対応を取ることができたのではないでしょうか。

 

女性の数を増やせばいい?

ここまでの話しは女性に限った話しではありません。

いくらマイノリティと言われている女性を起用したとしても、ベテランの女性“だけ”の部署やチームとなってしまっては男性の視点や若者の視点など、すくいきれないものも出てきてしまうでしょう。

また、企業の中で女性の数を増やせばいい、という話しでもありません。

女性の活用にばかり目を向けた結果、これまで男性しかいなかった部署に女性を少人数入れたとしても、やはりそこで同質性を重視するホモフィリィーが起こってしまいかねません。

多様性が相乗効果となってプラスの効果を生み出すためには、目に見える数や比率ももちろん大切ですが、お互いが自分と近しい条件(同質)の人だけでなく、同質ではないものも理解する考え方、そして、各々の得意分野を生かして最大限に活躍できるよう、柔軟な働き方を認めるなど働き方に対する施策も必要となってくるのではないでしょうか。

 

ホモフィリィーが強い組織は、事業の成長にとってネガティブ要素の方が高いと考えられます。

従業員の男女比に大きく差があるなど、マイノリティ側に立つ人が昇進などの機会に対してハンディキャップがある場合は、人脈形成や情報取得などの環境面をサポートした上で対等に評価をすることがプラスの効果を生み出すきっかけになるかもしれません。

 

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