女性活躍推進コラム

コロナ禍での妊娠出産 何が変わったのか?〜孤立が不安な妊産婦さんへの3つの提案

新型コロナウィルスの流行に伴い、働き方も大きく変わった2020年。環境の変化を余儀なくされたのは妊産婦さんも例外ではありません。 スリールではコロナ禍前後の妊産婦の環境変化の実態を把握すべく、NPO法人ファザーリング・ジャパンと共同でアンケートを実施しました。

2020.10.13sourire staff

新型コロナウィルスの流行に伴い、この数カ月間で私たちの生活は大きく変わりました。

リモートワークを取り入れた働き方、オンラインでの学習など、対象は老若男女問わずこれまでのスタイルが余儀なく変わろうとしています。これから出産を迎える妊婦さん、出産を終えられたばかりのお母さんも例外ではありません。

”コロナ前と比較し、コロナ禍での妊娠・出産では制限されることが多い”ということは想像できても、では実際に当事者の方達が何に困っていて、何を必要としているのか?、なかなか取りだたされることの少ないテーマではありました。

そこで今回は、コロナ禍前後の妊産婦の環境変化の実態を把握すべく、NPO法人ファザーリング・ジャパンと共同でアンケートを実施しましたのでご紹介したいと思います。

詳細アンケート結果はこちら

 

コロナ禍で制限されること

感染拡大防止の観点から、コロナ前と比較するとコロナ禍での妊娠・出産では制限されることが数多くあります。

一例として、検診同伴不可、両親学級の開催がない、立会い不可、面会不可など、希望される妊婦さんはコロナ前とほぼ同じ割合なのに対し、実際に希望が叶った割合はコロナ禍出産では歴然と低いことが見て取れます。

※ 2020年3月以降に出産された方、及び2020年8月時点で妊娠中の方を「コロナ禍出産」とし、2016年以前、また、2020年2月までの出産したされた方を「コロナ前出産」と定義

【病院・産院等の両親学級の受講】

コロナ前に出産した方と、コロナ禍に出産した方(する予定の方も含む)共に両親学級を希望する比率は7割を超えているのにも関わらず、実現率には大きく差があり、コロナ禍では実に希望者の2割弱の妊婦さんしか両親学級を受講できていないことが分かりました。特に病院での両親学級は、コロナ前は受講必須なことも多いので、パートナーの参加率も高くなる傾向があります。そのことにより、パートナーが育児への意識が低い場合でも、夫婦そろって知識を得る重要な機会になっていました。

両親学級では、パートナーが妊娠中のお腹の重みを体験する他、実際に沐浴などの体験を行っていきます。しかしながら、こうした機会がないまま出産を迎えることは、出産・産後の生活について情報やイメージを持てる機会が減ってしまうため、特に初めての出産では大きな不安要素になってしまいかねません。退院後、子どものお世話の方法について病院では多くを教えてくれないため、事前に情報を入手できないことで、パートナーはもちろん、妊婦さん本人も出産後のイメージを持ちづらい状況になっています。

また病院・産院での開催に限らず、自治体や民間企業での開催においても実現率には同じような差が見られました(※)自治体の両親学級では同じ地域に住むパパ友ママ友を作る機会にもなりますが、それが失われることで自治体の情報やコミュニティを得る機会の損失にも繋がっています。両親学級が無くなることが、知識だけではなくコミュニティを得る機会の損失になっていることも、重要な点だと捉えています。

※ 詳細アンケート結果はこちら

【パートナー・家族の立ち合い出産】

子どもの一生に一度の誕生の瞬間、お腹の中で育ってきた命との初めて対面である立ち合い出産も、コロナ前では希望者率と実現率に違いはなかったのに対し、コロナ禍での出産では希望者の半分しか実現できていないことが分かりました。入院から出産、退院までの間にパートナーや家族に一度も会えない状況になっている妊婦さんも多く、特に初めてのお産の場合大きな不安を感じながらのお産になっています。産院によっては、人数制限を掛けながら立ち合いを実施できるようにしている場所や、LINEなどを利用してオンラインでの立ち合いを実現していることもあります。
子育てのチームとしてのパートナー。立ち合いが叶わずに出産や子育てのイメージを持ちにくくなることは、退院後の子育てにおいてのフォローにも影響することが懸念されます。コロナ禍でさらに存在の重要度が増しているパートナーシップ。
ご自身や家族の中でどうしていきたいかを話し合いながら、後悔なく、安心安全にお産に臨める環境を考えていくことが重要です。

【産後入院中のパートナー・家族との面会】

1日1日と顔が変わり、成長していく赤ちゃん。家族であれば毎日でも会いたいと思うはずですが、こちらもコロナ前の出産では希望者率と実現率に違いはなかったのに対し、コロナ禍での出産では希望者の2割しか実現できていないことが分かりました。

生まれたばかりの赤ちゃんに会えない家族にとって残念であるのは間違いないことですが、命懸けの出産をしたばかりのお母さんにとっても、家族のような親しい間柄でのサポートや話し相手もいない中で孤独を感じ、不安な状態のまま退院を迎えることになりかねません。

【父親の育休取得】

一方、コロナ禍において実現率が唯一上回ったのは、「父親の育休取得」でした。

コロナ前の出産とコロナ禍での出産では希望者率に大きな違いはなかったのに対し、コロナ禍での出産の方が実現率が高かったことが分かりました。

これは、県を跨いでの移動制限、電車や飛行機を使っての移動を控える動きが出てきたことで里帰りすることを控えたり、家族以外の人との接触をできる限り控える動きの中で、夫婦で協力する体制が自然と生まれてきているのかもしれません。

今回のアンケート結果の比較の中では、コロナ禍出産においての唯一の嬉しい変化でもあった一方で、実家や外部サポートに頼れないが故、頼れる先がパートナー(父親)のみという実態も浮き彫りとなりました。

 

出産経験者は産後ケアと男性育休の重要性を感じている

『コロナ禍で中止や延期等になっている場合、工夫してでも実施したほうがよいと思うもの』(複数回答)の問いに対して、コロナ前の出産もコロナ禍での出産いずれも、「出産の立ち合い」や「入院中の面会」は比率が高いものでした。

一方で、コロナ禍での出産に対し、コロナ前の出産での希望率が目立って高かったものは「産後のサポート」と「父親の育休取得」でした。その差は実に20%以上あります。これは、産前には気づいていなかったが、実際に出産を経験してみて重要と感じているものが「産後のサポート」と「父親の育休取得」であるということです。
産後ケアについて、現在のコロナ禍で「他人に家に来てもらうなんて…」と躊躇してしまいがちですが、産後の体は「全治2か月のケガと同じ」とも言われています。出産を経験した方が最も重要だと挙げているように、自分たちだけで抱え込まずに、自分たちに合ったサポートを探していただければと思います。
また男性の育休取得については「現状もオンラインで在宅しているので、敢えて取得しなくても…」と思ってしまう方もいるかもしれません。前述したように、産後はサポートの手があるほど良いとされています。現在はオンラインなども進んで育休取得が実現しやすい環境にもなっています。だからこそ、遠慮をせずに育休取得を希望して、パートナーと一緒に子育てに向き合う時間を作っていくことも重要です。

 

コロナ禍で妊産婦がより孤立しやすくなっている

「産後うつ」という言葉、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

最近の調査報告では、実に10人に1人が産後うつの症状が現れるとされています。産後うつは自殺とも関連していると言われており、2016年までの2年間の人口動態統計をベースに国立成育医療研究センターが発表したデータによると、女性の出産後1年未満の死因は「自殺」でした(92名)

また、海外の研究によると、妊娠中で約10~12%、産後で約10~15%にうつ病が認められるとされており、日本での同等からやや高い発症率であることが分かっています。 参考:ぜひ全ての男女に知ってほしい、周産期うつについて。

発症リスクを高める原因は、育児不安やストレス、周囲のサポート不足、そして妊娠中からの強い不安もあると考えられています。

コロナ禍では、コロナ前に比べ妊産婦さんの感じる不安は強くなっていることは容易に想像がつきます。

上図の通り、コロナ禍の妊婦さんを取り巻く繋がりの断絶は多岐に渡っていると考えられます。

アンケート結果にも出ていたように、移動の制限や高齢の親を気遣って里帰りが叶わず親のサポートが受けづらい状況。感染予防の観点から、他人を家に入れることに抵抗を感じる人が多く産後のケアサービスや外部サポートを使いづらい状況。本来であれば妊娠期間中にプレママ・先輩ママとの集まりをしながら、会話の中で自然と情報が入手できるはずが、会う事さえ難しくなっている状況。最後の砦となるパートナーも、検診や両親学級で知識が得られないがために何も分からない状況。、、、このように、これまで当たり前にあった情報やサポートが遮断されることで、妊産婦さんがこれまで以上に孤立する事態となっていることを、当事者だけではなく周囲も理解することが重要です。

 

孤立が不安な妊産婦さんへの3つの提案

感染予防の観点から、大きく現状や制度を変えることは難しいですが、そんな中でも孤立を防ぐためにできることを考えてみましょう。

1. オンライン両親学級など、パートナーと積極的に情報を取る

まずは上記のように、当たり前に得られていた情報がコロナ禍で得られづらくなっていることを理解しましょう。しかしながら、この状況下でオンライン講座が充実してきたというプラスの影響もあります。

リアルな場でプレママプレパパが集合する両親学級の開催は中止している場も多くなりましたが、オンラインでの両親学級や、先輩ママとのオンラインでのお話しなど、多様な形で繋がることも可能になっています。むしろ地方にお住まいの方が、東京などの企業で開催している講座にもアクセスしやすくなり、やり方次第で以前よりもたくさんの情報を得られる機会にもなります。是非妊婦さん1人ではなく、パートナーと一緒に積極的に情報を取りに行ってください。

 

2. 産前産後の外部サポートを利用する

外部サポートの利用についても、少しずつ受け入れている家庭も多いようです。訪問型に対してまだ抵抗がある方は、産院や専門施設でのショートスティや行政の相談窓口など、頼れる先の全ては閉まってはいません。
産後うつは、産後3ヶ月以内に最も発症しやすいと言われていますが、産後1年間のいつでも起こる可能性があります。母親にとっても子どもにとっても産後の大事な時期だからこそ、ご自身の生活や考え方に合う方法で、頼れるところにどんどん頼って欲しいと思います。

 

3.  個別の対応をしてくれるような病院・助産院を選ぶ

妊娠中、産後の体や育児については、産婦人科医を始め専門家に聞くことで解消できることが多くあります。
施設が整っており安心感のある大きな病院を選ばれる妊婦さんも多いかと思いますが、もし妊娠・産後について何か不安を感じているのならば、病院規模は小さくとも1人1人個別に対応をしてくれるような病院・助産院を選ぶことも可能です。自分で情報を集めるのに自信がない、手厚くサポートして欲しいという場合の選択肢として、「産院を選ぶ」ということも、重要な対応策です。

 

妊婦さんそれぞれ、妊娠出産において大切にされたいことは違います。具体的に何に対し不安を感じているのか、不安の正体を明確にすることでうてる対策もあるかもしれません。

NPO法人ファザーリングジャパンと共同で作成しました「コロナ禍における妊娠出産環境を整えるためのチェックリスト」も参考までにご覧ください。

 

今、不安を抱えている妊産婦さんにこうした提案が届くことを願ってやみません。
何よりも、妊婦さん自身が産前産後にストレスや不安なく、頼れる場所を選ぶことが大切だと思います。
また同時に、諸々制限された状況の中で頑張ってこられた妊婦さんの無事のご出産、そして誕生した新しい命が元気に育ってくれることを祈っています。

 

コロナ禍の妊娠はこれまでと何が違うのか?、働く女のワーク&ライフマガジン「Woman type」に掲載されました、産婦人科医であり医学博士の宋 美玄さんと、弊社代表・堀江の対談も是非ご覧ください。

コロナ禍、妊婦が孤立しがち? これから妊活を始める人が知っておきたいこと【医師・宋美玄×スリール堀江敦子】

 

 

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