コラム

両立支援等助成金とは?女性活躍推進の助成金について企業が知っておくべきポイント

女性活躍を推進する企業や働き方改革を推進する企業のための助成金である「両立支援等助成金」。厚生労働省が定め、育児休業等支援コースや出生時両立支援コース、女性活躍加速化コースなどの6種類のコースがあります。両立支援等助成金の申請や提出書類、提出先について、助成金と補助金の違いについてなどを、企業の方にとってわかりやすくまとめました。(2018年10月時点)

公開日:2018.10.23更新日:2023.06.20staff

女性活躍推進で企業がもらえる助成金・補助金とは

企業がもらえる助成金の中には、企業が仕事と子育ての両立支援を行うことを促すための助成金制度があることをご存知でしょうか?

今回は、仕事と子育ての両立がしやすい環境を整えることで企業が受給できる「両立支援等助成金」について

・どのような助成金か
・種類やコース
・助成金の申請方法

をまとめてご紹介します。ぜひ最後までご確認ください。

 

女性活躍推進で企業がもらえる助成金・補助金とは

そもそも、助成金・補助金とは、直接的または間接的に公益上必要であると判断した場合に、民間企業もしくは政府に対して交付される金銭的な給付金のことを言います。

助成金の場合は雇用や労働環境の改善などの場合に、補助金は経済や地域の活性化のために交付されます。助成金・補助金とも原則返済不要の給付金ですので、受給できれば企業に大きなメリットをもたらします。

助成金は、交付の条件を満たすことができれば高い確率でもらうことができ、随時あるいは長期間にわたって申請期間が設けられていることが特徴です。反対に補助金は、予算の都合によって上限額が決まっているため、申請しても受給できない場合があります。補助金は申請期間が短い場合が多いと言われています。

 

企業が女性活躍でもらえる「両立支援等助成金」とは

女性活躍や職場環境の改善で企業が申請できる助成金を「両立支援助成金」と言います。両立支援等助成金とは、「職業生活と家庭生活の両立支援や女性の活躍推進に取り組む事業主を応援すること」を目的に厚生労働省から給付される助成金です。

現在、政府で取り組んでいるアベノミクスの3本の矢の一つである「成長戦略」。その実現を目標として一億総活躍社会の実現が謳われています。

両立支援等助成金は、一億総活躍社会の実現に向けて、個々人が出産や子育て、介護などのライフイベントと仕事を両立し、長く職場で働き続けられる環境づくりに取り組むことを推進するために作られた制度です。

 

両立支援等助成金の種類一覧

両立支援等助成金には、6種類のコースがあります。

助成金を受給するためには、6つのコースの中から、自社に合うものを選択して申請を行う必要があります。それぞれ、どのような場合に得られる助成金なのかをわかりやすくご紹介します。

(1) 育児休業等支援コース

「育児休業等支援コース」とは、「育休復帰支援プラン」に沿って、社員の育児休業取得、職場復帰を行った中小企業に給付される助成金です。

「育休復帰支援プラン」は厚生労働省から提示されたマニュアルに沿って作成します。育児休業を取得・職場復帰をさせた場合だけでなく、育休中の社員の代替要員を確保した場合、職場復帰に向けた新しい制度の導入を行なった際にも助成金が支給されます。「育児休業等支援コース」は中小企業のみが対象であることが特徴です。

※詳細は、厚生労働省の「育休復帰支援プラン」策定マニュアルをご覧ください。

  • 育児休業等支援コースとは
    社員の育児休業取得、職場復帰を行った中小企業に給付される助成金
  • 特徴
    中小企業のみが対象

(2) 出生時両立支援コース

「出生時両立支援コース」とは、男性が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりを支援するためのコースです。育児休業を取得する男性社員の人数が増えたり、その取得日数が増えることに応じて助成金が支給されます。

一般的な育児休業だけでなく、出生前後に取得できる休暇制度や育児目的の休暇制度を新たに導入し、それを男性社員が一定日数以上利用することも条件となります。そして、それらの制度を男性社員が利用できるように管理職が推奨することや、管理職向けの研修を行うことなども定められています。

  • 出生児両立支援コースとは
    男性が、育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場づくりを支援する際に給付される助成金
  • 特徴
    一般的な育児休業だけではなく、休暇制度を新たに導入し男性社員が取得する必要がある

(3) 女性活躍加速化コース

「女性活躍加速化コース」は、女性活躍推進法に基づき、女性活躍に関する「行動計画」を作成し、行動計画内に盛り込んだ数値目標と取り組み目標を達成した場合に給付される助成金です。

目標の区分には大きく4つあります。
・女性の積極採用に関する目標
・女性の配置・育成・教育訓練に関する目標
・女性の積極登用・評価・昇進に関する目標
・多様なキャリアコースに関する目標

詳細は、女性活躍推進サポートサイトをご覧ください。

  • 女性活躍加速化コースコースとは
    女性活躍に関する「行動計画」を作成し、行動計画内に盛り込んだ数値目標と取り組み目標を達成した場合に給付される助成金
  • 特徴
    行動計画では、目標を設定しそれを達成する必要がある

(4) 介護離職防止コース

「介護離職防止コース」では、仕事と介護の両立を支援した企業に対して給付金が与えられます。

介護休業制度を導入するだけでなく、現在の職場環境についてアンケートを行うことや介護に直面した社員との面談、それに基づいた「介護支援プラン」を作成・導入など様々な要件が定められています。単に制度を整えるだけでなく、実際の介護当事者社員の声を聞き、フォローまでを行うことが定められているのがこのコースの特徴です。

詳細な要件は、職場環境整備の取り組みについて、 介護支援プランの様式についてをご確認ください。

  • 介護離職防止コースとは
    仕事と介護の両立を支援した企業に対して給付される助成金
  • 特徴
    介護プランを作成し、制度を整えるだけではなく現場のフォローを行う必要がある

(5) 再雇用者評価処遇コース

「再雇用者評価処遇コース」とは、出産や育児、介護を理由に職場を離れざるを得ない社員が、再び就業が可能になった時に復職でき、適切に評価され、配置・処遇される再雇用制度を
導入し、実際にそれを希望する社員を採用した際に支給される助成金です。

離職後1年以上が経った社員が半年以上無期雇用者として採用されることが条件であるため、離職後10年以上経ったような社員でも対象となるのが特徴です。

  • 再雇用者評価処遇コースとは
    出産や育児、介護を理由に職場を離れざるを得ない社員が、再び就業が可能になった時に復職でき、適切に評価され、配置・処遇される再雇用制度を導入し、実際にそれを希望する社員を採用した際に支給される助成金
  • 特徴
    離職後1年以上が経った社員が半年以上無期雇用者として採用されることが条件

 

それぞれのコースの特徴についてご説明しました。次は、助成金の申請方法について解説します。

 

「両立支援等助成金」の申請条件と方法

両立支援等助成金は、各コースによって申請方法や要件が大きく異なるため注意が必要です。

各コースの支給額や申請要件、方法は厚生労働省の平成30年度 両立支援等助成金のご案内から確認いただけます。さらに細かい各コースの条件や参考資料は、厚生労働省のホームページの両立支援等助成金の支給申請書「事業主の方への給付金のご案内」からダウンロードしていただけます。

今回は、例として女性活躍加速化コースの申請条件と方法についてご紹介したいと思います。

女性活躍加速化コースの申請条件と方法

「女性活躍加速化コース」は、女性活躍に関する数値目標と数値目標の達成に向けた取組目標を盛り込んだ行動計画を策定し、目標を達成した場合に得られる助成金です。

策定した行動計画を期間内に達成できた場合にもらえる助成金は「加速化Aコース」「加速化Nコース」の2種類があります。AコースよりもNコースの方が申請の際にクリアしなければいけない条件が多くなっていることが特徴です。

また、Aコースには従業員が301人以上の企業は申請することができません。つまり、Aコースは中小企業しか申請ができず、申請条件も比較的易しいということになります。AコースもNコースも支給額は変わりませんが、Nコースで申請した場合、女性管理職比率が基準値以上に上昇すると支給額が増額されます。

申請条件としては、行動計画の策定と達成の他に、行動計画を従業員に周知していることや「女性の活躍推進企業データベース」に自社の行動計画と達成状況を公表すること、都道府県労働局への届出などが必要となります。

申請方法としては、各都道府県の労働局に申請・書類の提出を行います。詳細は各都道府県ごとの問い合わせ先でご確認いただけます。提出書類は各コースによって異なるので事前の準備や早めの確認をおすすめします。詳しくは、厚生労働省のホームページからご確認ください。

 

女性の活躍推進企業データベース」からも各企業の実際の行動計画や実績をご確認いただけます。

 

取組目標としてどのようなことを行えば良い?

「女性活躍加速化コース」では、数値目標を達成するための取組目標を定めることも条件とされています。具体的にどのような取組を実施すれば良いのでしょうか?

参照:女性活躍加速化コースの詳細

厚生労働省によると、取組目標には主に研修やセミナーの実施を行うことが推奨されています。
当事者である女性に対する研修だけでなく、管理職を対象とした研修なども行い、女性社員と管理職の意識の差を埋めていくことが重要だとされています。

助成金のデメリットと注意点

返済不要の給付金である助成金には、メリットしかないようにも見えます。給付金を使うことにはどのようなデメリットや注意点があるのでしょうか?

助成金はあくまでも後払い

助成金は、決められた条件を達成した場合に支給されるものであるため、支給条件を達成するためにかかる費用を前もって得ることはできません。
後から帰ってくるお金であることは変わりませんが、先行投資が必要になる場合もあります。

申請には時間的なコストが発生する

助成金の申請に慣れていない企業にとっては、申請資料や受給後の報告書などは重たく感じられてしまうかもしれません。新しい制度を導入することにも周知から導入までの時間がかかります。

あくまで、助成金を得ることが目的ではなく、職場の労働環境整備を行い、社員が働きやすい職場を実現することが主目的であるという意識が重要かもしれません。

まとめ

今回は「両立支援等助成金」について詳しくご紹介しました。

助成金は、社員が働きやすい環境を整備した際に政府から与えられます。申請のためには様々な要件をクリアする必要がありますが返済不要の資金の給付を受けられる点では
企業に大きなメリットがあります。

特に女性活躍に取り組む企業にとっては「両立支援等助成金」は、女性だけでなく男性の育児参加も促すコースがあることや、
子育てだけでなく介護も申請の対象となるため、幅広い分野で助成金を得られるチャンスがああると言えます。

現在職場の労働環境整備に関心がある企業の方は一度検討してみてはいかがでしょうか?

 

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