女性活躍推進コラム

3/8は国際女性デー。森JOC前会長発言から考える”ダイバーシティ”とは?

森JOC前会長の「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」発言が日本だけでなく世界中で話題となったことは記憶に新しいかと思います。問題の本質は何だったのか?を紐解いていくと同時に、ダイバーシティが広がった時に組織はどうなっていくのか?改めて考えていきます。

2021.02.26staff

森JOC前会長の発言は何が問題だったのか

先日、東京オリンピック・パラリンピック大会組織委員会(以下JOC)の森喜朗前会長の「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」発言が日本だけでなく世界中で話題となりました。

発言のある一部を切り取って報道されることが多く、女性蔑視ではないか?と非難されていますが、問題の本質は何だったのか、改めて紐解いていきます。

この発言の問題点は「女性は話が長い」という言葉そのものよりも、権力のある組織のトップが公共の場で”女性”というある一定の属性を取り上げて「話が長い」「競争心がある」と言ったことにあります。またこの言葉に続けて「わきまえて発言すること」を促すような言葉を付け加えたことによって、「女性はわきまえるべき(女性の発言を制限する)」と暗に強要したことが女性蔑視・女性差別になる原因なのです。

「女性が話が長い」という言葉はジェンダーバイアスであり、「無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)」な場合も多いです。それは誰しも持ち得るものかもしれません。しかし、組織のトップが公共の場で、自身の発言の影響力を考えずに発言すること自体が、トップの意識の低さ、そしてジェンダー平等からかけ離れた環境が露呈したとして、海外からも非難の声が上がったのです。

権力のある人の発言が同調圧力を生み、マイノリティ、属性の違う人たちの発言を押さえてしまう危険性があることを強く認識する必要があります。
 ※同調圧力の危険性については『ホモフィリー(同質性)』について記載したコラムをご覧ください。

男性にも女性にも話しが長い人もいれば短い人もいます。負けず嫌いであるもその人のパーソナリティによるものです。
今回の森前会長のメッセージは、『”全体”として話しを短くしましょう』というシンプルなものにして、効率的な会議を促していくことが本質的な意味を成していたのではないでしょうか。

 

属性のダイバーシティが広がることでのメリットとデメリット

一般的に”多様性”と訳されるダイバーシティは、年齢、性別、人種、宗教といったある程度視覚的に判断ができるものを指すと思われがちですが、ダイバーシティにも種類があることはご存知でしょうか?

経営学でのイノベーション研究の中では、ダイバーシティには「属性の多様性(Demographic Diversity)」と「タスク型の多様性(Task Diversity )」があると言われています。米イリノイ大学アーバナ・シャンペーン校のアパーナ・ジョシとヒュンタク・ローが2009年に発表した論文*1と、米セント・トーマス大学のスジン・ホーウィッツと米テキサス大学のアーウィン・ホーウィッツが2007年に発表した論文*2では、この2つの多様性が組織パフォーマンスに与える影響について研究されています。
この2つの研究では、組織パフォーマンスにプラスの影響をもたらすのは、多様な職歴、経験、能力がある「タスク型の多様性」であるということが分かっています。逆に「属性の多様性」が増えると、組織内にグループができたり、バックグラウンドが違いすぎて説明や共有に時間がかかり、短期的には組織パフォーマンスにマイナスの影響がある時も出てくると言われています。しかしながら、時間の経過とともに「属性の多様性」の中でのマイナス効果は薄れていき、より多様なアイディアが生まれる強固な組織になると言われているのです。

つまり、「属性の多様性」が広がると論点が広がるので短期的に見た時には集約に時間がかかり、生産性は下がります。しかしながら長期的に見ると、多様な属性の意見が入ることでより広い視野でみることができ、新しく強固な意思決定ができるのです。

*1:Josi A. & Roh,H.2009.“the role of context in work team diversity research a meta-analytic review”

*2:Horwitz, S. K., & Horwitz, I. B. (2007) “the effects of team diversity on team outcomes”

企業の意思決定機関に占める女性割合の向上を目的とした世界的キャンペーンである『30%クラブ』のビジョンの中でも、”意思決定における健全なジェンダーバランスは、企業のガバナンス強化はもちろん、持続的成長の促進、そして国際的競争力の向上にも影響を与えるものだ”と説明されています。

これらの世の中の流れを受けてか、昨年末のJOC規定改定では現在20%程度の女性理事の割合を40%以上とすることが目標となったところでした。

女性だけではなく、若い世代や、ハンディキャップのある人等の別属性が入る・増えるという事は、視野や意見が広がることを意味します。これからは、今回話題となったJOCだけでなく、個々の組織でもダイバーシティを意識した組織であるならば、意見が広がることで以前よりも集約に時間がかかることを前提とし、会議そのもののあり方を見直し、より生産性の高い場にしていくことも必要です。

例えば、一人ひとりの発言時間に制限を与えたり、事前に前提情報を共有したり意見を集約する。または意見を発散する時間と決める時間を分ける等。今まで制限なく行っていた会議自体を変革することが求められています。
あなたの会社も、「属性の多様性」を広げていくことを良いきっかけとして、会議の在り方や意思決定の在り方を見直しませんか?

 

昨年は過去最下位の153カ国中121位にまで順位を下げた国際ジェンダーギャップ指数が今年もそろそろ発表されます。ダイバーシティ推進に向け様々な動きを耳にするようなった状況の中で起きた、森JOC前会長の発言。果たして今年の日本のランキングはどうなるでしょうか?

 

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