コラム

女性管理職比率とは?業界ごとの違いや企業の成功事例を女性活躍のプロが解説

女性管理職比率とは何かご存知でしょうか。女性活躍推進法では女性管理職比率を30%に増やすという目標が定められており、企業には指導的立場の女性を増加させることが求められています。この記事では日本と海外の女性管理職の国際比較や推移をはじめ、女性管理職が高い企業の事例、増やすために必要な取り組みや、男性からの理解を得るために気をつけたいことを解説します。

公開日:2018.11.28更新日:2023.06.20staff

女性管理職比率とは

女性管理職比率とは、企業またはその分野での女性管理職の割合のことを指します。企業が非常に大きな関心を寄せる女性管理職比率ですが、なぜここまで注目されているのでしょうか。

その背景としては、安倍政権が成長戦略として打ち出した「3本の矢」のひとつとして、女性活躍を打ち出したことから、指導的立場に立つ女性を増やそうという動きが活発化していることが挙げられます。特に2020年までに指導的地位に女性が占める割合を30%にまで上昇させることをさす、「2020年30%」のスローガンは世間から大きな注目を集めました。

今回は、日本の女性管理職比率の現状や、業界ごとの女性管理職比率の違い、そして女性管理職を増やすための実際に企業で実際に行われている事例などをご紹介していきたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。

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女性管理職(リーダーシップ)パイプラインとは指導的地位とは?

安倍政権は、指導的地位の女性を2020年までに30%にすることを目標としていますが、具体的には指導的地位とは、以下3点のことを指すと幅広く定められています。
企業の方で目指すべき点としては、課長職以上に就く女性を増やしていくことであると言えます。
女性管理職比率も、課長職以上に就く女性の割合を示されていることがほとんどです。
今回は、企業内での課長職以上に就く女性を女性管理職として、解説していきたいと思います。

日本の女性管理職比率の現状
厚生労働省の調査によると、平成29年度の企業における課長職以上就く女性管理職比率は、10.9%と発表されています(下図)。
「2020年30%」の目標から考えると、年々少しずつ上昇しているものの、日本の女性管理職比率は未だ低いのが実情です。それでは、もう少し詳しく日本の女性管理職登用の現状を見ていきましょう。

日本の女性管理職比率の国際比較
こちらは日本の管理職比率を海外と比較したグラフです(下図)。
他国と比べると日本の女性管理職比率が低いことが読み取れます。また、欧米諸国だけでなく、アジア各国の女性管理職比率と比べても、数値が低いことがわかります。


さらに、日本は世界国際フォーラムが発表する、ジェンダー・ギャップ指数において、世界ランキングが144ヶ国中114位とかなり下位に位置しているという現実もあります。それだけ日本は世界的に見て、女性の活躍が遅れている国であることがわかります。下図のチャートからも、日本は教育や健康においては高い水準にある一方で、経済・政治参画はそれと比較し、かなり低い数値をマークしていることがわかります。教育されている女性たち「指導的地位」に上がれる環境をいかに創って行くのかが重要なポイントになります。
業界によっては女性管理職比率には差がある
日本の女性管理職比率が低いと言われているものの、実は業界によって女性管理職比率にはかなり差があることはご存知でしょうか(下図)。
例えば、医療・福祉業界の女性管理職比率はかなり高く、反対にガス・水道などのインフラ業界には少ないことがわかります。元々の就業者の男女比の違いが関係しているため、女性就業者の割合を増やしていくことが女性管理職を増やしていくことに繋がっていきます。

女性の管理職登用はなぜ必要?女性の管理職登用は、単なる目標ではなく企業は取り組む義務があることをご存知でしょうか。その理由には、2016年に施行された「女性活躍推進法」が関係しています。「女性活躍推進法」は企業に対して女性が働きやすい環境づくりを求める法律です。この法律では「女性労働者の採用や昇進などの機会を促進すること」が基本原則です。これは、301人以上の企業に対しては実施義務、301人以下の企業には努力義務が課せられています。つまり企業の規模に関わらず、意識的に「女性に昇進の機会を与える」ことを行わなければならないのです。女性管理職(リーダーシップ)パイプラインとは女性管理職を増やす時に気をつけたい点女性管理職を増やそうとする際に、以下のような意見が聞かれます。
このような意見について、どう対処していけば良いのでしょうか。このような意見について、どう対処していけば良いのでしょうか。

女性社員が本当は管理職になりたいと思っていないのではないか?

プレジデント社が女性社員に取ったアンケートでは、「管理職になりたくない」と回答した女性一般社員が82%という結果が出るなど、管理職に就きたくないと考える女性社員が多いという声をよく耳にします。しかし、これを詳しく見ていくと、
「責任のある仕事を家庭と両立できるか不安」
「負担だけが増えてしまうのではないかと思う」など、
仕事と子育ての両立に不安を感じていることや、管理職の業務にマイナスなイメージを抱いていることが大きく影響していることがわかります。女性社員が管理職に就きたくないと考えるのは、管理職に就くことに対する漠然とした不安があるからであるのです。企業は「きっとこの女性社員も管理職になりたくないはずだ」と決めつけてしまうのではなく、女性社員が何に不安を感じ、管理職に就くことをためらっているのかについてコミュニケーションを取ることで不安を取り除くこと管理職に就くことへのネガティブイメージを払拭することで、優秀な女性社員がよりその能力を発揮できる環境を整えることができます。

男性社員からの納得が得られる登用

女性管理職が増えると、男性社員からは「女性管理職を増やすことばかりに注力して、本当に優秀な人物が登用されているのか」という不満や疑問の声が聞かれるという企業の方の声をよく耳にします。納得していない社員の声を無視することは社内の雰囲気を悪くしてしまうことにも繋がりかねないので、お勧めできません。なぜその女性社員が管理職として登用されるのか、評価の透明性や登用の理由をしっかりと周知することで、「女性社員がひいきされているのではないか」という不満を解消することに努めることが必要と言えます。
女性管理職割合が高い成功企業それでは、実際の企業ではどのようにして女性管理職を増加させているのでしょうか?
それぞれの取り組みをご紹介したいと思います。

サイボウズ株式会社
グループウェアや業務改善サービスを提供するソフトウェア会社、サイボウズ株式会社(以下サイボウズ)では、現在女性管理職が4割を占めています。サイボウズでは、育児・介護休業制度が最長6年まで取れることなど、女性が長く働き続けることを社内全体で支援しています。それだけでなく、選択的人事制度を導入することによって、勤務時間や勤務場所を社員一人ひとりが選択できる制度を整え、全員が自分らしく働き続けられる環境づくりを行なっています。その結果、現在サイボウズでは離職率が4%以下まで低下するだけでなく、能力のある女性が働き続けられる環境が整っているため、女性社員が安心して管理職としても働くことが可能になっていると考えられます。

メンバーズ株式会社
マーケティング支援を行うメンバーズ株式会社(以下メンバーズ)では、女性管理職比率30%を達成しています。メンバーズでは、女性社員の長期的なキャリア形成を支援するために、「Womembers Program(ウィメンバーズ・プログラム)」を実施しています。
女性向けのキャリア研修の実施や女性社員同士の交流の場を作り、ネットワーク構築の支援などを行っています。女性がキャリアを形成する上での不安を取り除き、さらに同じ女性社員と意見や現在キャリアについて抱えている悩みをシェアできる場を作ることで、女性がキャリアアップに対してポジティブになれる取り組みを行っています。

女性管理職を増やすために企業がやるべきこと企業は女性管理職を増やすためにどのようなことを行えば良いのでしょうか?
サイボウズ・メンバーズの事例の共通点は、大きく2点にまとめられます。

①女性のキャリアに対する不安を取り除く
これまでにもお伝えしてきたように、女性社員は管理職になりたくないのではなく、管理職になることによってこれまで以上に責任を持たなければならないことによって自身の子育てやライフとの両立が難しくなってしまうのではないかという不安を抱えています。
出産や子育てなどのライフイベントによって、キャリアが左右されやすい女性にとっては、長期的なキャリアを描くことが難しいことも、管理職を敬遠してしまう理由になると考えられます。
女性社員のキャリアプランの形成を企業が支援することによって、不安を取り除き、ライフイベントも踏まえたキャリアアップに前向きになれることが必要と言えます。

②管理職になることに対してポジティブなイメージを持てる環境づくり
先輩社員で女性管理職を勤めている社員の姿を見る、あるいはその社員と実際に話すことができる関係づくりを行うことで、ロールモデルを見つける支援が必要であると考えます。そうすることで、自分にもできるかもしれない、と管理職に対してポジティブなイメージを持つ女性社員を増えることが期待できます。この考え方を学ぶ上で、是非参考にしていただきたい本は、
女性の視点で見直す人材育成――だれもが働きやすい「最高の職場」をつくるです。
著者は、企業・組織における人材開発・組織開発について研究をしている、立教大学経営学部 教授(人材開発・組織開発)中原淳氏です。
この本は、7400人の徹底リサーチ を元に「女性の働く」を徹底的に理論的に論じた本です。「優秀な人材が辞めていく…育たない…」と悩むマネジャー・人事担当者・経営幹部、必携の本であると言えます。



女性管理職が増えることによるメリット女性管理職が増えることは企業に対して、どのようなメリットをもたらすのでしょうか?それには大きく2点のメリットがあると考えられます。

①意思決定に多様性が生まれる
男性管理職だけでなく、女性社員の視点が入った意思決定を行えることによって、意思決定に多様性が生まれることが見込まれます。女性の視点が入ることによって、市場ニーズに柔軟に対応できることが期待できるほか、ESG投資など、株式パフォーマンスにも繋がります。経営視点で女性の意見が入ることはプラスの影響を与えられると考えられています。詳細は「女性活躍の取り組み成功の3つのポイント」の記事をご覧ください。

②女性社員のロールモデルとなる
これまでにご紹介した通り、女性社員は長期的なキャリアプランを描くことに不安を抱えています。女性管理職が増えることによって、お手本となるロールモデルになる社員が増え、女性一般社員がキャリアアップを目指しやすい文化や環境を作ることに寄与できることでしょう。

まとめ
ここまで女性管理職比率についての現状や、女性管理職を増やすことへの課題、事例、メリットなどについてご紹介してきました。それでは、女性管理職を増やすために企業ができることについてもう一度おさらいします。
女性社員は、管理職になりたくないのではなく、管理職になることで生じる責任と、自身のライフプランとの両立に不安を抱えているケースが多くあります。
キャリアプランを描くことを支援し、キャリアアップに少しでも前向きになれる施策や仕組みづくりが重要であると言えるでしょう。

企業の女性活躍推進を支援する女性活躍研修を導入しませんか?かつてない少子高齢化が進み、労働人口の減少が続いている中、企業にとっての女性活躍や働き方改革は急務となっています。女性活躍推進法、働き方改革関連法成立にともない、企業には労働時間削減はもちろんのこと、多様で柔軟な働き方の実現が求められています。これから着手する企業、うまくいかずに悩んでいるという企業もあるでしょう。対策を効果的に行うためには、制度を整えるだけではなく、女性社員・管理職・若手社員、1人ひとりの相互理解や意識の変化に焦点をあてた働き方改革が必要です。私たちは、女性活躍推進のプロフェッショナルとして次のような企業の課題を解決します。大企業だけではなく、中小企業にとっても重要な女性管理職比率、離職防止、管理職の育成を力強くサポートします。
ぜひ、個人が活きる社内風土を一緒に作っていきましょう。

office@sourire-heart.com

◼︎両立不安白書
こちらからダウンロードできます

 

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①議会議員

②法人・団体等における課長相当職以上の者

③専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事する者

(医師、薬剤師、弁護士、公認会計士、研究者、大学講師など)

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◆そもそもなぜ今女性活躍推進なのか?

「女性社員自身が管理職になりたいと思っていない」
「男性社員から納得を得られるか不安」
などの声が聞かれます。

・女性の長期的なキャリアプランを描くことを支援することで、キャリアに対する不安を取り除く

ロールモデルとなる先輩女性社員や周囲の女性社員との交流の場を設けることで、管理職になることへポジティブなイメージを持てる環境づくりを行う

・自発的に管理職を目指す女性が、非常に少ない
・出産を機に、女性社員のモチベーションが下がってしまう
・制度はあるのに、できる女性が退職してしまう。

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