国際ジェンダーギャップ指数120位の私たち
先日2021年度のグローバル・ジェンダーギャップ指数(世界男女格差指数)が発表され、日本は昨年より1位順位を上げたものの、依然先進国の中では最下位の120位(156カ国中)という順位でした。
アイスランドなどの上位国と最も大きな差が生まれたのは、政治・経済分野での女性の参画率、管理職比率でした。比較として挙げられている2006年当時に対し、ギャップ数値自体は大きな変化はないものの順位が大きく下がっているのは、日本が変化しない一方、他の国々が大きく変化しているということが言えます。
参照:Global Gender Gap Report 2021(P233)より一部編集
参照:Global Gender Gap Report 2021より作成
ランキングの詳細を見てみると、経済部門では「管理職の男女比」が139位と低いランクです。平均が34.9%なのに対して、日本は17.3%。また政治分野では、「国会議員(衆議院議員)の比率」が平均31.2%に対して、日本は11.0%と低い数値です。内閣府では、「2020年代の早期に女性管理職率を30%にする」という目標を掲げていますが、まだ目標の半分程度の状況なのです。
政治・経済分野での男女比率格差については、内閣第5次男女共同参画基本計画の中でも202030(2020年までに女性管理職率30%)が達成できなかった理由の一つとして、“女性の採用から管理職へのパイプラインの構築が途上であること“が指摘されています。女性役員比率を向上する為に外部人材を採用するという事ではなく、社内で採用した人材を管理職や役員に押し上げていく仕組みが必要なのです。
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女性管理職(リーダーシップ)パイプラインとは
リーダーシップ・パイプラインとは、採用から管理職、組織のトップまで途切れることのないパイプラインを作り、組織全体でリーダーを育成しようという仕組みのことを意味します。
現在においてリーダーシップは、「先天的な資質」ではなく「誰でも発揮ができる能力」「開発可能な能力」と言われています。またリーダーシップのスタイルは単一の在り方を押し付けるものではなく、多様なスタイルで能力を発揮するものであると研究でも明らかになっています。
女性管理職比率が低いという企業では、この女性の管理職に至るまでのリーダーシップパイプラインが、構築されていないと言えます。またそれは同時に、同じようなスタイルの管理職しか求めていないことにも繋がり、男女関係なくダイバーシティのない状態であるとも言えます。女性管理職パイプラインが構築されているかを見ることは、多様な人材の能力を積極的に引き出しているかのリトマス試験紙であるとも言えます。欠陥部分を知り、パイプラインをしっかりと構築する必要があります。
では、まずパイプライン欠陥を調査するにはどのように行えば良いのでしょうか。
昨今、企業で採用された男女比率においては、大きな偏りがある組織は少なくなってきましたが、その後管理職となる比率が属性(この場合は性別)によって大きく変わる状況は多くの組織で起きてることではないでしょうか?
日本経済新聞社による「社長100人アンケート」では管理職を増やす上での課題(複数回答)は「登用すべき年齢層に女性社員が少ない」が60%で最多。このように管理職登用時に女性社員が少ないということは、それまでの間にパイプラインの欠陥が起こっていると言えます。
まずは、以下の様に各役職での男女比率が採用時の比率と、どれだけ乖離があるのかをチェックしていきましょう。
「採用時の男女比率」、「主任・係長相当職の男女比率」、「課長相当職の男女比率」、「部長・事業部長相当職の男女比率」「役員の男女比率」
多くの企業の場合、「課長相当職の男女比率」からガクッと女性の比率が低くなることが見受けられます。これは、特に女性がライフステージを迎える時期に差し掛かっていることが要因です。このライフステージを迎える時期の女性に対して、制度上で「管理職に登用されない」ような構造的な欠陥があるだけではなく、上司が部下に対して過剰な配慮をして管理職任用への後押しをしないというアンコンシャスバイアスが存在する場合があります。このような制度上や上司の後押しがない環境だと、女性本人の意識も管理職に上がることに対してネガティブな意識になってしまうのです。
制度・上司の意識・本人の意識が、どのように影響を与え合っていくのか。自社はどのステップにいるのかは、是非「女性活躍サーベイ」をご活用ください。
組織のパイプラインに欠陥が起きる要因は、主に下記の5つだと考えています。
どこか1点だけではなく、総合的に解消することでパイプラインの正常な稼働を目指すことで、多様な人材が活躍する組織に変化していくのです。
1. 制度・体制 ① 管理職育成・登用のタイミングが、多くの女性がライフイベントを迎える時期(20代後半~30代)と重なり、そこで第一線から抜けることで管理職登用の対象に入らない。 ② 育児で休職・時短勤務となった場合、評価が下がったまま上がりにくい。 ③ 時間制約がある中では管理職が遂行できない働き方や慣習がある。
2. 上司(評価者) ④ 上司(評価者)が女性を管理職の対象として育成していない。 3. 本人 ⑤ 女性自身に管理職になる意欲が低い傾向がある。 |
また、2021年4月から女性活躍推進法の適応範囲が301名以上から101名以上の労働者がいる企業に拡大するなど、管理職・幹部への女性登用に限らず、どんな状況下でも継続的にキャリアアップを図れるよう様々な取り組みが求められていきます。
女性活躍は目的ではなく手段です。それ自体が目的となるのではなく、事業の活性化、本当の意味でのダイバーシティやイノベーションを促進するために、本気で施策を実行する必要があります。この実現には時間を要します。時間はかかりますが、多様性のある企業はない企業に比べより多様なアイディアが生まれる強固な組織となり※1、業績の向上をもたらすと言われています。※2
※1 Horwitz, S. K., & Horwitz, I. B. (2007) “the effects of team diversity on team outcomes” ※2 ILO 「Women in Business and Management: The business case for change」
より効果的に課題を解消するためには、まずはパイプラインのどこに欠陥があるのか、その原因を調査していくことが必要です。この度スリールでは、組織の現状把握を行えるツール『女性活躍サーベイ』サービスをリリースしました。
該当者へのインタビューを通し、会社として今どのような状態なのか、社員はどのような意識なのかを把握していただき、年齢・性別関係なく活躍できる組織づくりにお役立ていただければ幸いです。
スリールでは、個々人が「自分らしいワーク&ライフ」を実現し、笑顔で働く人が増える社会の実現を目指しています。
また、「子育てをしながらキャリアアップできる人材と組織の育成」をテーマに、講義や擬似体験型ワークを取り入れた実践的な研修を提供しております。
ご興味がある方はぜひこちらよりお問い合わせください。
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